嶺上開花(リンシャンカイホウ)

嶺上開花(リンシャンカイホウ)とは?

嶺上開花(リンシャンカイホウ)は、暗槓・加槓をした直後に、嶺上牌(カンの際に補充するツモ牌)を引いて和了した場合に成立する1翻役です。「槓をしたら手が減る(実質的に和了率は下がる)」というデメリットを補うかのように、槓した直後のツモで和了すると嶺上開花の加算がつくシステムです。日本麻雀においては偶然役の一種とも言われ、必ず門前である必要はなく、副露していても嶺上開花は有効です。

嶺上開花の基本ルール・成立条件

暗槓・加槓を宣言した直後のツモ和了

  • 嶺上開花がつくのは、以下のいずれかの槓を行った直後の「嶺上牌(補充牌)」で和了した場合です。
    1. 暗槓(アンカン)
    2. 加槓(カカン)
  • 明槓(ポンしている刻子にもう1枚同じ牌を加える加槓も含む)の後でも、自分が嶺上牌をツモって和了するなら成立します。
  • 逆に、大明槓(他家の捨て牌をチー・ポンの要領で4枚揃える行為)をした場合も、嶺上ツモ自体は行いますが、実践では「大明槓後の嶺上開花を認めるかどうか」はルールごとに異なるケースがあります(一般的には認めることが多いですが、取り決め次第)。

副露していてもOK

  • 嶺上開花は門前限定役ではありません。ポン・チー・明槓をしていても、カンの直後の嶺上ツモで和了すれば1翻が加算されます。
  • ただしリーチ中は暗槓・加槓をすると待ちが変わる可能性があるため注意(※リーチ後の暗槓は待ちが変わらない場合のみセーフ)。うまくいけばリーチ+嶺上開花+裏ドラなど、爆発力のある和了にもなります。

ツモと同様の扱い

  • 嶺上開花の和了はツモ和了と同様の扱いになります。
  • 点数計算時にも、自摸和了の計算方式が用いられます。つまり、ツモ上がりの場合の支払い(親は子3人から、子は親と子2人から)と同じルールで点数を得る形になります。

嶺上開花の注意点

カンのメリットとリスク

  • カンするとドラが増えるメリットも得られます(新ドラ表示をめくる)。
  • しかし、その直後に他家からロンされるリスクや、自分の手牌が減るデメリットなども存在するため、むやみにカンしても得点につながらないことが多いです。
  • ただし、嶺上開花での和了を狙えるならスピードアップというよりは“運試し+ドラ増し”の面が強く、良形テンパイなら十分狙い目となります。

リーチ後の暗槓・加槓

  • リーチ後でも暗槓(手牌がすべて門前で、待ちが変わらない)や加槓(すでに副露している刻子への追加)を行えますが、待ち形が変わらないかどうかの確認が必要です。
  • 待ちが変わらなければ槓をする権利はありますし、そこで嶺上ツモすればリーチ+嶺上開花の形で大きな点数増が期待できます。
  • 反面、槓が原因で裏ドラが増え、他家の手にドラが乗りやすくなるというデメリットも同時に発生します。

他家の捨て牌からの大明槓

  • 他家の捨て牌を拾って4枚目を揃える大明槓を行った場合、一般的にはその後の嶺上牌でツモ和了すれば嶺上開花扱いとなるルールが多いです。
  • ただし、ローカルによっては「大明槓後の嶺上開花は認めない」などの扱いがある場合もあるため、事前に競技ルールやフリー雀荘のルールを確認しておきましょう。

嶺上牌を引く権利の発生タイミング

  • カンを宣言した瞬間、場のツモ山(通常壁牌)の最後方から1枚引く(ドラ表示牌の隣)というのが嶺上牌の基本ルールです。
  • この「嶺上の1枚」は、他家から鳴かれることはありません。必ずカンをした人のツモとして処理されます。
  • ちなみにカンが4回以上続くと王牌(ワンパイ)の枚数が足りなくなることがあり、その場合は流局条件や四槓散了(スーカン散)などの特殊ルールが適用される場合もあります。

上がり時の翻数・符計算

  • 嶺上開花は1翻役として加算されます。
  • それ以外の役(タンヤオ、三色、平和、ドラなど)と複合し、さらに自摸和了扱いなので、門前清自摸和(ツモ)1翻なども同時に付与される場合は合計翻数が増えます。
  • 点数計算上はツモ和了と同様に基本点×2を他家に支払わせる方式となるため、親の場合やドラが複数絡んだ場合は一気に高打点もあり得ます。

海底摸月・河底捺魚と嶺上開花の兼ね合い

  • 最後のツモ牌での和了を海底摸月(ハイテイ)と呼びますが、もしカンによってツモ山の残り枚数が変化する(槓ウラ)関係などが生じた場合、海底牌の位置がずれることがあります。
  • 一般には嶺上開花と海底摸月は同時に成立しない場面が多いですが、複雑な取り決めによっては「嶺上で引いた牌が実質海底だった」とするかどうかなどルールの解釈次第の例外的ケースもあります(普通は両立しないとされることが多い)。

一発の消滅

  • リーチ後1巡目の一発が成立する可能性がある場合でも、「槓を宣言=副露扱い(暗槓を含む場合が多い)」とされ、一発が消えることがあります。
  • つまり、一発を消してまで暗槓をするメリットがあるかどうか、嶺上狙いとの兼ね合いで判断しましょう。